リネンに備わる抗菌・防臭と抗酸化の素晴らしい機能性と、柿渋染めの効果
リネン(亜麻の繊維)は西洋に、柿渋は日本、韓国、中国の東アジアに、どちらも大昔からあるもので、人々の日々の衣食住と労働・生産での生活を、健康面、快適性、便利さと美しさにおいて数千年間も支えてきたものです。 二つに共通するのは同じリグニンに代表されるポリフェノールで、これにより抗菌・防臭性と抗酸化性の高い機能性をもたらします。リネンを柿渋で染めますと、もともとポリフェノールに富んでいるリネン繊維が、柿渋のポリフェノールでコーティングされ、美しい色合いに染まるだけでなく、使い込んで古くなったリネンでも、リフレッシュされ、また新たな魅力と機能性を備えて生まれ変わります。
リネンにも柿渋にも、抗菌・防臭性と抗酸化性があると言われてきましたが、リネン布にも、それを柿渋で染めた製品にも、やはり高い機能性があることが実証されてエヴィデンスとなりました。
このリネンと柿渋のポリフェノールの抗菌・防臭と抗酸化の機能性が、細菌の増殖や活性酸素による過酸化脂質(POV)の発生を抑制し、お肌の細胞を守るということも、科学的にも説明できます。またリネンの繊維のセルロースも、それを覆うポリフェノールにも、紫外線を吸収する分子の構造となっています。リネンと柿渋を身にまとうことで、人間の最大の臓器とも言われる皮膚、お肌を酸化や細菌、紫外線の害からも守って、我々の健康と快適な生活をもたらしてくれます。
植物が生み出すポリフェノールは、全部で8000種類くらい存在すると言われています。植物はポリフェノールを作り出すことで、有害な活性酸素や細菌や、紫外線から自らを守ります。ポリフェノールには、抗酸化性や抗菌性以外にもいろんな機能があり、ブルーベリーのポリフェノールであるアントシアニンは視力回復に効果があるとされ、ウコンのクルクミンは肝臓に良いとされています。リネンと柿渋に共通するポリフェノールのリグニンは、さらにたんぱく質も金属分子も吸着する性質があります。繊維に付着したそのような汚れや臭いも、リグニンが絡め取り、そして洗濯で少しずつ剥離するように流れ落ちるので、リネンはまた綺麗になります。昔から、リネンの繊維は洗えば洗うほど白く、美しくなるといわれる通りです。リグニンは我々が健康で快適な生活を送るのに、たいへん心強い存在です。面白いところでは、アイスクリームなどのバニラの風味にもリグニンは変身するのですよ。
リネンも柿の栽培にも、農薬はほとんど使用されません。リネンと柿渋は、人体にとっても、優しく健康に寄与するものです。とてもタフな繊維ゆえ長持ちしますが、役目を終えると、やがて分解されて自然に還ります。植物のポリフェノールの効果で、LOHAS(健康で持続可能な生活様式)を実現します。
抗菌性と抗酸化性試験結果のまとめ
当社が展開している柿渋染のマスク(リネンのナチュラルの生地♯1072を裏地に、同じ#1072を柿渋染したものを表地に採用)の新品と、それを10回以上使用し、家庭で洗濯したものを、繊維の検査機関で抗菌・防臭性と抗酸化性の試験をしてもらいました。さらに参考に、リネンのホワイト、それに柿渋染した生地も、同じ試験をしました。
抗菌性試験について
JIS L 1902(ISO 20743)で規定されている抗菌性繊維製品の評価方法で、菌液吸収法定量(どの程度あるか) の試験です。抗菌活性値2.0≦A<3.0の場合は、「効果が認められる』とされ、3.0≦Aの場合は、『強い効果が認められる』とされています。一般社団法人繊維評価技術協議会による「SEKマーク繊維製品認証基準」では、「抗菌防臭加工」の基準は、抗菌活性値(A)≧2.2とされています。下記の3例の試験報告書にある常用対数値から、菌の個体数で表しますと、黄色ブドウ球菌を接種した直後と、それを培養して18時間後の菌数を比較しました。対照のコットン布の場合、33,000個→12,300,000個と372倍にも増えているのに対し、同じ条件下の実験で、リネンの生成りは、25,700個→251個(100分の1に)、リネンのホワイトは、20,000個→794個(もとの4%に)、リネンのナチュラルを柿渋染したもの(当社のマスクの外側の生地に使用)については、30,000個→19個(ほとんど殺菌状態)との試験結果が得られております。
抗酸化性試験について
DPPHとはフリーラジカルで、酸素と反応すると活性酸素種を発生する化学物質です。活性酸素とは、『細胞内の酵素で分解しきれない余分な活性酸素は、癌や生活習慣病、老化など、さまざまな病気の原因であるといわれており』(Wikipedia より)そのラジカルを分解し、減少させるのが抗酸化性で、その能力を調べたものです。これも素晴らしい結果が出ました。リネンのナチュラルも、それを柿渋で染めたものもラジカルを85~88%も減少させ、洗濯してもその効果は簡単には減衰しないことが判明しました。リネンのホワイトのラジカルを減少させる率は59%ですが、柿渋に染めると、ナチュラルと同じほどの86%に高めることが判りました。かたや比較対照のコットンは7.8%しか減少できません。
まとめ
当社のリネンの生地はもちろん、何の化学的処理も抗菌材も添加していない天然そのままのリネンですが、「SEKマーク繊維製品認証基準」の「抗菌防臭」の基準とされる抗菌活性値≧2.2を、軽く超えている結果が出ています。通常はSEKマークを取得するためには、ピリジンなどの抗菌剤をあらかじめ繊維内部に練り込んだり、繊維表面に塗布したりの加工を施して、その基準を達成するようです。しかしリネンは、ナチュラル(生成り)もホワイトも、それを柿渋で染めたものにも、どれも人工的な加工を施さなくても、素晴らしい抗菌防臭性と、お肌の細胞を活性酸素から守る働きのある抗酸化性が、ともに高い数値で自然のままに備わっていることが、当社依頼の一連の試験で証明されました。
(1)リネンは黄色ブドウ球菌の培養条件下に18時間おいたら、菌数を僅か1~4%にまで減少させる、天然の高い抗菌性の能力が備わっている。
(2)リネンに柿渋を施すと、培養下でもほとんど殺菌状態になるほど、抗菌性が高い。
(3)リネンにはコットンの7~12倍程のラジカルを分解する、高い抗酸化性がある
(4)漂白したホワイトよりも、ナチュラルの生成りの生地が抗菌性と抗酸化性が高い。
(5)柿渋染をすると、ホワイトでも生成りでも同様に高い抗菌性と抗酸化性を備える。
(6)抗酸化性の効果は洗濯を繰り返しても、長く持続する。
(7)今回の試験でのリネンや柿渋の高い抗酸化・抗菌の機能性は、いずれもリグニンによる効果と思われる。リグニンは、リネンのホワイトよりも生成りのナチュラルの生地に多く含まれ、洗濯毎に僅かずつ剥離されるものの、機能性は持続する。
#1072リネン・柿渋染のマスクの商品詳細はこちら>>(弊社オンラインショップへリンクします)
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◆仕様
【サイズ】13 x 23 cm1, 15g
【素材】リネン生地(表地:#1072の柿渋染、裏地:リネン#1072の生成り)
ひも(ポリウレタン、ポリエステル)
【原産国】日本
【店頭小売価格】@\1,650
*1点ずつ手作業で染めているため、色の濃さが違う場合がございます。
リネンと柿渋、双方の抗菌防臭と抗酸化の機能性で、清潔でお肌に優しい繊維です。ゆえに一日装着されても蒸れにくいし、臭いや雑菌の発生も少なくて済みます。分析機関で実証され、エヴィデンスがございます。柿渋については、2020年の秋にはコロナウイルスにも効果がみられたとの論文が発表されました。(奈良医科大)